スポーツカー、スポーツ刈り、スポーツ麻雀、スポーツブラなどなど、冠するだけであらゆる物をたちまち爽やかで小っ恥ずかしい存在にしてしまう言葉『スポーツ』。くわえタバコでパソコンの前に座り続ける文化系の僕などに冠すると、存在そのものが危ぶまれるほど恐ろしく毒な言葉である。とりわけ『スポーツマン』となると質が悪い。アスリートとは全くの別物であり『記録』ではなく『健康』こそを至上とする人々である。何より馬鹿っぽくていけない。しかも、スポーツマンは文化系を決め込む人間の心を恐ろしく巧妙な情報戦で侵略してくる。爽やかに、そして着実に。
徹夜明けの早朝、燃えるゴミを出す僕の前を近所に住むスポーツマンが走り過ぎる。朝冷えの空気にシャカシャカとウィンドブレーカー、首には白いタオル、「おはようございまッス」まッス…もはや健康至上主義のプロパガンダである。「おはようござ…」送り返す声に乗せて目線を合わそうしたが、もうスポーツマンは後ろ姿。何も無かったように部屋へ戻りタバコに火を…と同時によぎる思い「禁煙しようかな」。結局いつもどおり火をつけたものの、徹夜仕事ハネのタバコという至福のひとときを100%で楽しむことができない。部屋の空間を埋めていく煙が恐ろしく醜悪な存在に思える。『不健康』『虚弱』『早死に』…クソッ何故こんなことを考えなくてはならないのか? 実に不愉快だ。ちょっとだけタバコを浅く吸うようにしてみたりする。 【意識】侵略が始まった瞬間だった。
by ajicoba
| 2005-12-11 07:57
| エッセイ
|
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